第2回目のウェブマーケティングラジオでは、ECサイトを例にとって「マーケットイン」と「プロダクトアウト」の考え方について説明いたしました。この2つの言葉は全く真逆の考え方です。わかりやすく言えば「いいものを作れば売れる」という時代は終わり、ということです

プロダクトアウトが日本人には染み付いている

日本は高度成長期の成功体験が大きいのか、プロダクトアウトの考え方が染み付いています。それこそ高度成長期なんて知らないZ世代ですらも、「いいものを作れば売れる」と考えているフシがあります。残念ながら、そのようないいものだから売れるという時代は終わりました。

本当にいいものが売れるとしたら、100円均一は成り立ちません。100円均一ショップは100円という低価格帯ですので、製品にお金がかけられません。ですので、必ずしもいいものばかりではありません。他のお店に行けば、もっと品質の良いものはたくさん売っています。しかし品質の良いものよりも、100円ショップの商品を選ぶ人が多数存在するのです。

商品やサービスを売るためには様々な要素が複雑に絡み合います。商品やサービスそのものの品質だけで売れる・売れないは決まりません。品質は一つの要素ですが、消費者は品質以外も判断材料にしています。100円ショップの例で言えば価格も重要です。価格だけでなく、販売している場所も大事です。遠い場所よりも近い場所、怪しいネットショップよりも安心のAmazon・楽天で購入するでしょう。

上記はまさに4Pの考え方です。前回もご紹介した、Product・Price・Place・Promotionの4つを表している、マーケティング・ミックスです。商品・サービスの品質はProductの部分で最も重要ではあります。しかしそれ以外に3つの要素もまた重要なのです。

プロダクトアウトのウェブマーケティングは失敗しやすい

そしてウェブマーケティングでは基本的にプロダクトアウトの考え方では、失敗しやすいのが特徴的です。プロダクトアウトは商品・サービスの良さを全面的に押し出して、販売を増やしていく方法です。この方法の弱点は「自分たちが良いと思うものと消費者・ユーザーが良いと思うものは違う」という点です。

自分たちが良いと思うもの、自信がある部分が消費者の求めているニーズと同じであれば、問題ないでしょう。しかし、多くの場合、消費者のニーズは別の部分にあったりするものです。

その昔、ペプシコーラが一般消費者に目隠しで飲んで美味しいものを選んでもらう、という実験を行ったことがありました。ペプシコーラのライバルはもちろんコカ・コーラです。ペプシは目隠しで飲んでも美味しい、優れた味のコーラを作り出し、実験結果も目隠しでは多くの人がペプシコーラを選びました。

しかしブランド名を明らかにした後に飲んでもらうと、多くの人がコカ・コーラが美味しいと言うのです。コーラにおいて味は重要でしょう。だからペプシも美味しい味だから売れる、そう考えてこの実験を行いました。しかし、消費者が選んだのは「味」ではなかったのです。メーカー側が考えていたことと、消費者のニーズは大きくずれていたわけです。

このようにプロダクトアウトのマーケティングは現在、成功しづらいのです。

成功するマーケットイン的ウェブマーケティング

プロダクトアウトの反対であるマーケットインとは「マーケット(=消費者・クライアント)に合わせた商品・サービスを提供しよう」というものです。商品そのものを消費者にあわせる方法もありますが、4Pで言う価格や販売方法、プロモーションの仕方を消費者にあわせるという方法もあります。

例えばミネラルウォーターですが、水は2リットルとかなり重量があります。お米も同じです。こういった重いものはネットスーパーやインターネットショッピングで購入すると、家まで持ってきてくれます。これは販売方法の変更(Placeのマーケットイン的考え方)となります。

他にも価格そのものを消費者にあわせるという方法もあります。わかりやすいもので言えば脱毛サロンがまさに価格を消費者にあわせています。初回はかなり安くして、その後はローンで毎月の支払いを減らすという手法です。脱毛サロンの顧客は若い人が多いため、収入も金融資産も多くありません。だから毎月の支払い負担を減らすローンは消費者に合わせたPriceの変更となります。

さらにマーケットインは消費者にあわせるので、消費者の口コミや反応などを見て、ウェブマーケティングの施策を変更していくことが可能です。ウェブマーケティングの基本はPDCAを回していくことです。消費者の反応を見てプロモーションの方法をマイナーチェンジしてみたり、価格を変更したり、商品PRの切り口を変えてみたり…より販売できる方向に修正していくことが可能です。

まとめ:世間の声、流行を見てみよう。

「この商品はいいものだ、だから売れる」と主張する人を何人も見てきました。ウェブサイトを制作するとき「この写真が好き」や「この文章はこうしてくれ」と自社や自分を中心に修正を依頼する人も何人もいました。自分がいいと思うものが必ずしも他人も好きとは限りません。

BTSは好きですか?Tiktokはやっていますか?HIKAKINさんの動画を楽しんで見れますか?タピオカミルクティーは好きですか?いずれも私は当てはまりませんが、それでも多くの人に支持されており、大人気の人・商品・サービスです。まずは自分を軸にして考えるのをやめ、世間の声を聞いてみましょう。

そこからマーケットインの考え方は始まります。