たまにお客さんや知り合いから「エンゲージメントが今のネット広告には大事なんでしょ?」と言われることがあります。確かにエンゲージメントについてはSNSの効果に関する指標としてネット広告の業界で盛り上がったことがありました。もちろん今でも現役バリバリに使われていたりします。

で、エンゲージメントって何よ?って言うと簡単に言えばSNSでどれだけその投稿の影響力があるのか?ということを示した指標です。簡単に言えばいいねやリツイート、シェアやリンクへのクリック数が増えれば増えるほどエンゲージメント率は高くなっていくのです。逆にたくさん広告で投稿を拡散させても、いいねやリツイート・シェア・コメントなどが増えないのであれば、エンゲージメントは低くなります。

参考:エンゲージメント率の定義とは?Facebook、Twitter、Instagram、計算方法と違いをSNS別に徹底解説

エンゲージメント率は単体で用いる指標ではない!ROAS・CPAの補助として使おう

ROAS・CPAがいちばん大事な指標

冒頭の説明を見て、勘の良い人なら気づくかもしれません。「これってエンゲージメント率をコントロールできるんじゃないの?」と。その通りで、いいねやクリック、シェアなどをお金を払って色んな人にやってもらえれば、いくらでもエンゲージメント率を高くすることはできるわけです。つまりステマでエンゲージメント率を高くすることだってできるのです。

となるとエンゲージメント率だけで見ていたら、広告の正しい評価というのができない事がわかります。さらに言えばたとえエンゲージメント率がすごく高くても、販売したい物が売れない・サービスを使ってもらえない・アプリがダウンロードできないなどもありえます。何百万円も広告を払って、エンゲージメント率が高かった!けれども商品は全然売れなかった…なんてことは望ましい結果じゃないでしょう。

何のために企業は広告を出しているのか?それは物を売る・サービスを売る・自社の発展のために行っているわけです。売上の上がらない広告・利益が出ない広告は意味がないわけです。お客さんにとってそれは無駄であるコストになってしまいます。だからこそ最終的にモノが売れなければなりません。

となるとエンゲージメント率よりもROASとCPAこそが大事な指標ということになります。

ROASとは売上効率を指し、騙すことができない指標

そもそもROASとはどういう指標か?と言いますと、ROASは広告による売上高を広告費で割って100をかけると出て来る指標です。例えばネット広告を10万円出したことで、50万円の売上が上がったとしましょう。この場合、売上50万円を広告費10万円で割り100をかけた500%というのがROASになります。

企業によって広告費をどの程度使うかは様々ですが、例えば毎年売上高の5%を広告費として使う企業があるとしましょう。この企業の場合、ROASが2000%以上を目指すことが求められます。10万円の広告費を使い、200万円の売上を上げることができれば合格です。逆にそれを下回る広告を出し続けると、売上高に対する広告費の割合が増して販管費が多くかかることになります。

またROASのいいところは売上と直結しているため、販促手段の検討に使いやすいことです。販売促進のためにSNS広告を出す、リスティング広告を出す、ポスティングをする、新聞広告を出すなど、様々な販促活動の中で最も効率のよいものを探すこともできます。

エンゲージメント率をどう有効に利用するか?

上記でROASが非常に使えるということを書いていますが、ではエンゲージメント率は全く利用する必要がないか、エンゲージメントを高める必要はないか?というとそうではありません。エンゲージメント率を高くすることが売上・利益を高める方向に持っていく、KPIにするという利用方法は可能です。

まず最初のエンゲージメント率をチェックします。2週間くらい運用して出たエンゲージメント率を基準にし、その時点でのROASやCPAを計測します。それからエンゲージメント率を高くしていく施策をとります。その後エンゲージメント率が高くなったかどうか、高くなったらROASやCPAは高くなっているか?を計測します。

エンゲージメント率が高くなったのにROASやCPAが改善しない、上昇しないということは考えられます。この時にとる行動は一つはKPIとしてエンゲージメント率を利用しないようにすること、もう一つがどういうエンゲージメントならROASやCPAが改善するかを再考することです。

例えばTwitter・Facebookのエンゲージメント率を計測しているとしましょう。両方とも上昇しましたが、ROASの改善に繋がったのはTwitterだけだったとした場合、Twitterの何が良かったのか?どういう投稿でROAS・CPAの改善に繋がったのか?を探ります。調査の結果「おそらくこれではないか?」という仮説の上で、もう一度検証を行っていきます。

このようにエンゲージメント率だけを高めたところで、それが売上に繋がるものではないのです。それこそセカンドチャンスでもエンゲージメント率を高くするだけなら簡単です。コメント・いいね・シェアを人工的に増やせばいいのですから。でもそれではダメなのです。

エンゲージメントの中でも「どんなエンゲージメントが有効か?」を調査・仮説検証しなければ、エンゲージメント率は使えない指標となってしまうでしょう。いいねをいくらもらっても、食べてはいけません。