
マーケティングオートメーションというワード、多くの方が一度は聞いたことがあると思います。アメリカで考えられてツールとされたものです。もともとアメリカは人種も文化も宗教も生活も統一されていません。いろいろな人が3億人以上住んでいる国ですので人によって趣味趣向やこだわり、宗教上の禁忌なども大きく違います。
そこで顧客を属性ごとに分け、属性に合わせた広告やダイレクトメールを送り、管理できるように作られたのがマーケティングオートメーションです。ITを活用し、できる限り細かく属性を分け、送るメッセージを変えることで、効果的なアプローチが可能です。また必要のないメールや広告を表示しないことで、ブランド価値を守ります。宗教的に食べられないユーザーに対し、その食品のレコメンドメールを送らずに済むのです。
とはいえ一般的にマーケティングオートメーションツールは高価なものです。ツールに高い金額を払うことができない中小企業・個人の方も多いかと思います。実はマーケティングオートメーションツールとして無料で利用できるものがあります。それが「mautic」というオープンソースツールです。

MAツールの費用を比較してみる。
世界的にマーケティングオートメーションが流行したこともあり、MAツールはたくさん存在します。価格の高いものから低いものまでありますが、有名なMAツールの初期費用・月額費用を一覧にしてみます。
MAツール名 | 初期費用 | 月額費用 |
---|---|---|
マルケト | 要見積り | 要見積り |
SATORI | 100,000円 | 100,000円~ |
Hubspot | 0円 | 0円~384,000円 |
Kairos3 | 10,000円 | 5,000円~ |
mautic | 0円 | 0円 |
各種マーケティングオートメーションツールの費用はかなり幅があります。料金の違いは使える機能や他社ツールとの連携などの違いがあります。また見込み顧客(=リード)の登録数に制限があったり、サポートが有るかどうかなどでも、料金が違ってきます。
例えばHubspotは無料のプランもありますが、無料プランではできることが限られています。スタータープランにすると、チャットボットやポップアップなど、コンバージョンを高めるための機能がついています。(セカンドチャンスでもHubspotを利用した集客・売上アップのコンサルティングを行っておりますので、ご興味のある方はご相談ください)。
MAツールはたくさんありますが、どれを使っていいのかわからないという方が多いでしょう。そういう場合には、まずやりたいこと・実現したいことを洗い出すことが肝心です。マーケティングオートメーションはすべてを自動化、運用を楽にさせるものではありません。
無料のMAツールmauticでできること
では、mauticでできることとはどういうものでしょうか。大きく分けて3つ、できることがあります。その3つとは下記の機能です。細かなmauticの機能については、別途記事を用意しますので、そちらをご参照ください。
- 顧客を細かくセグメントに分けて管理する
- セグメント分けした顧客に対し、アプローチする
- セグメント分けした顧客へのアプローチを自動化する
顧客をセグメント分けする
まず顧客を細かくセグメント分けすることが可能です。最初の接触が展示会だったのか、紹介によるものなのか、直接の問い合わせによるものなのか、細かく分けることが可能です。
一般的な顧客管理の機能と同じようなものですが、「あるページにアクセスした人」のような切り分けも可能です。このような切り分けにより、興味のある商品ごとに分類することも可能です。
顧客へアプローチする
顧客へのアプローチができるのもまた、MAツールのポイントです。最もよく使われるのはステップメールでしょう。メールを送り、その数日後にまた別のメールを送るという設定を行う事が可能です。
また、ページを見ているユーザーに対し、ポップアップで通知することも可能です。ポップアップで今だけ割引の通知を出す、と言ったことも可能です。マーケティングプロモーションにはうってつけの機能です。
顧客へのアプローチを自動化する
最後がこれらの機能を自動化することです。どういった人に対してメールを送るのか、どういったユーザーがどのページにアクセスしたときにポップアップを出すのか、最初に設定します。一度設定してしまえば、顧客へのアプローチを自動化できます。
さらにセグメントも自動で変更することが可能です。例えばメールを送ってメール送信を拒否したユーザーをメール拒否ユーザーにセグメントできます。また、ポップアップから登録したユーザーには「ポップアップから」というセグメントに分けることも可能です。
なぜmauticは無料で利用できるの?
そもそも、なぜmauticは無料で利用できるのでしょうか。それはIT業界で使われている「オープンソース」という考え方に基づいて作られているからです。
オープンソース (英: open source) とは、言葉通りのソースコードへのアクセスが開かれている(ソースコードが公開されている)ことを意味するのではなく、ソースコードを商用、非商用の目的を問わず利用、修正、頒布することを許し、それを利用する個人や団体の努力や利益を遮ることがないソフトウェア開発の手法を意味する。オープンソース・イニシアティブ は、「オープンソース」と名乗るための要件として「オープンソースの定義」を掲げている。
オープンソース – Wikipedia
簡単にいえばmauticは利益を得るために作られたのではなく、
- みんなが平等・公平に使えるように
- みんなで維持するために開発・修正もみんなで行う
このような考え方に基づいて作られている、オープンソースのMAツールなのです。
オープンソースはmautic以外にもWindows、macOSと並んで使われることの多いLinuxがあります。またウェブサイトに使われるCMSでWordPressもまた、オープンソースで作られたものです。mauticもまた、オープンソースという考え方の上で開発・運用されていますので、無料で利用できるわけです。
mauticの活用事例(*その他MAツールでも可)
ではmauticで一体どういう事ができるのでしょうか。下記に具体的な3つの使い方を記載します。mauticやMAツールの利用を検討している方は是非参考にしてください。
事例1:展示会後の顧客アプローチに
1つ目が展示会で名刺交換した方々へのアプローチです。展示会では100枚以上の名刺を集めることになるかと思います。100人の方々にそのままテレアポしてもある程度の効果は見込めるでしょう。ただ、そのテレアポの手間を少しでも減らし、さらに顧客の理解を促すことがMAツールでは可能です。
まず、展示会後に取得した名刺をMAツールに登録します。次にメールを送る内容を考えます。例えば展示会で案内した商品の詳細が書かれたホームページURLを案内するなどの方法があります。このとき、メールに必ず自社サイトの製品ページや売り込みたいページのURLを貼り付けます。できるだけホームページに来てもらえるようにすることがポイントです。
そうすれば登録した名刺とアクセスしたユーザーが結びつきます。これにより「いつ・どのページを見たか」等が判明します。逆にページを見ていない・メールを開封しないというユーザーもわかります。メールを開封しないユーザー・ホームページにやってこないユーザーは顧客になってくれる可能性は低いと言えるでしょう。そういったユーザーにはテレアポせず、興味を持ってくれたユーザーに優先的にテレアポを行います。
テレアポ後に訪問し、すぐに顧客になってもらえればそれで問題ありません。しかし、即決して購入してもらうということはまれです。特にBtoB企業でしたらなおさら意思決定から稟議が通るまで、時間がかかります。
そこでステップメールを送ります。テレアポした企業の担当者には「サンプルプレゼントメール」や「無料のPDFプレゼント」など、様々な内容をメールでアプローチするシナリオを作ります。定期的なメルマガもいいでしょう。そうして、顧客との接点を長く持っておくことで、すぐには顧客にならない場合でも長期的には顧客に育成することも可能です(=リードナーチャリング)。
このように展示会後のアプローチを効率的に行うこともmautic行えます。
事例2:価格表ダウンロードで顧客を明らかに
2つ目は自社のサイトで価格表や精神パンフレットをダウンロードできるPDFにしておくというパターンです。商品や価格がわかる一覧表をホームページにそのまま掲載している企業は多いでしょう。その詳細がわかる冊子をダウンロードできるようにしておきます。自社のパンフレットでも良いのでPDFにしておきます。
この際、mauticであれば「アセット」に登録しておくことで、ダウンロードしたユーザーを追跡することができます。ダウンロードするために名前や会社名、連絡先を入力してもらいます。パンフレットをダウンロードするのは興味がある証拠です。取得した電話番号でテレアポを直接行ってもいいですし、メールでコンタクトをとっても良いでしょう。
アメリカでは「事例集のPDF」や「使い方PDF」のダウンロードをきっかけにして、マーケティングオートメーションを始める事がよく行われています。日本でも同じような方法を利用可能です。手始めに価格表や自社パンフレットのPDFダウンロードなら、すぐにはじめられないでしょうか。
事例3:交流会で名刺交換した方を登録管理
3つ目は個人事業主の方におすすめの交流会で名刺交換した方の管理です。名刺交換した方々の名刺をどう管理するのか?なかなか悩ましい問題だと思います。そこで名刺交換した方々の情報をすべてMAツールで管理するという方法です。
mauticであればコンタクトから追加することができますので、会社名・名前・メールアドレス・電話番号・住所など情報を登録しておきます。そうすれば、後々メールを送ることも可能です。情報はすべてmauticから引き出せばOKです。もちろん入力した情報についてはエクスポートすることも可能です。
マーケティングオートメーションというよりも、顧客情報管理で使っています。このような使い方も一つの方法です。
mauticからマーケティングオートメーションをはじめてみましょう
マーケティングオートメーションは今まであまり身近なものではありませんでした。費用は高いし、大手しか使えな買ったからです。
しかし、mauticの登場により一気に身近なものとなりました。個人事業主・中小企業もMAツールを利用することができるようになりました。もちろんマルケトやHubSpotのような世界レベルのツールに比べると見劣りはしますが、必要最低限の機能は兼ね備えています。
MAツールを探している方は、mauticから始めてみてはいかがでしょうか。